2013年8月30日金曜日

9月のスケジュール

残暑お見舞い申し上げます。
最高気温を更新した夏ももう終わり。
清々しい朝の空、少し肌さむいけど、心地良い目覚め。
秋のはじまり。冬支度の愉しみ。

9月は8月から引き続き、予約制で靴のご相談をお受けいたします。
宜しくお願いします。

また、
9月7日は2treecafeでワークショップと靴の展示。
9月21日はスターネット益子店で、オーダーシューサロンのご紹介。
ぜひお越しください。

2013年8月29日木曜日

病の活用

体調はすっかり良くなり、
この夏に出来なかった仕事が山積みだけど
途方にくれるほどの数でもなく、
淡々と丁寧に作り続ける持久力が
この病の間で蓄えることができたような気がしています。

平日は自分のリズムでしっかり働き、休日はお客さんや家族と足並みそろえて過ごす。
心地良い日々の再開。
今日も午前と午後にお客さんのご家族がいらっしゃって、
そのたびにコモンシューズハウスが活き活きとしてくるのがわかります。



15年以上、足の小指の根本にある大きな胼胝。
右足の幅はこいつのせいで5ミリ以上左より大きい。
病気の前兆はこの胼胝の痛みでした。
胼胝に余計な力が掛からないような丁度良いバランスに身体を仕向けることができないと、
いくら幅の広い靴を履いても効果はありません。
僕の場合、義肢装具の勉強をしている時に、そのことに気付いて
バランス調整の靴をつくり、1年でその悪い癖を改善しました。20代前半の時です。
一度できた胼胝は癖の改善だけでは消えはしないのですが
気にならなくなって過ごすことができるようになりました。

その後約10年、痛みがでることはなかったのですが
今回の病気は、10年ぶりにその胼胝が痛みだして、
身体がオカシイぞ、と不安な、嫌な予感を感じていました。
その晩、39度を超える熱と手足におびただしい発疹がでて
大変な痛みと痒みが続きました。

そして今、その発疹と戦った手足の皮膚が剥けて、新しく再生中です。
その大きな胼胝も綺麗に取れてしまい、つるつるツヤツヤの肌になっています。
生まれ変わった気分です。
またあの大きな胼胝ができないように
ここからさらに気を引き締めて、身体を丁寧に整えてつくっていきたいと思っています。



病気で身体が弱ることはなく、
むしろ、病は弱った体を再び活性させてくれる。
強くしてくれる。
子どもと二人並んで布団で丸くなりながら
そう励まし合うのでした。
でも乗り越えるのは大変だったぁ。子供ってすごい強い。

身体が回復へ向かうこの1週間、
友人たちのめでたい話や、嬉しい話が次々に飛び込んできます。
夏前より、200%逞しく丈夫になれそうな気がします。

見目さんのコモンシューズ1年半。陶芸の土で独特な経年変化。

2013年8月21日水曜日



僕の益子の父、馬場さんと今生のお別れをしました。
必ずまたいっしょに仕事ができると信じていたのですが
本当に残念で仕方ありません。思い出すと悲しくて悔しくてまだ泣きそうになります。
僕の靴を一番理解し、信じ、愛し、応援してくれたのが、馬場さんでした。
馬場さんはこれから母性の時代と言っていましたが、
馬場さん本人は素敵な父親でした。
父の無償の信頼。
それは無償の愛と似ているけど、
母親とは違う、もう1つの愛があることを
身をもって態度で教えてくれました。

馬場さんはいつも夢を追いかけている人でした。
僕が馬場さんに心から惹かれるのは、その夢の中身以上に
それに向かう愉しそうな生き方が、眩しいくらい輝いているから。
馬場さんに会う人はみな、そんな馬場さんが大好きなんだと思う。


「靴って面白いねぇ。ほんの少しのことで身体が変わる。」
そう話す馬場さんは本当に愉しそうでした。
馬場さんから、素敵な夢を与えてもらっている。
「世界一の靴屋になること」
僕にまだその力はないし、一人で叶えることのできる夢じゃない。
だから馬場さんはスターネットをつくり、アートワーカーズギルドをつくった。
ここで世界一の仲間に出会いたい。
スターネットは星座のように無限に繋がる光の輪。
世界のコンフォートシューズを扱い、自社製も手掛ける種本さんと
日本で最も魅力溢れるハンドメイドシューズ作家曽田さんが
もうその夢の舟にのっている。奇跡的なことだ。

馬場さんは、理想郷をつくりたいと言っていたけど、
終わりはないとも言っていた。
それは場所じゃないと言っていた。
自分そのものにあるものだと。
だから、僕は
世界一の靴屋という素敵な夢を追い続けて、
今日も明日も10年後も、靴づくりに励みたいと思う。
馬場さんのように、生きていきたいと思う。


2012年土祭 zone前 左から非電化工房の藤村先生夫妻と馬場さんと僕。




2013年8月10日土曜日

シューズワークリレイションと弟子



ようやく手に力が入るようになり、少しずつ仕事もできるようになりました。
靴をお待たせしているみなさんには、ご迷惑とご心配をおかけしました。また、このようなことになっても、心優しいお言葉をかけて頂き、本当に嬉しく思っています。ありがとうございます。病気前より元気になって、元気いっぱいの靴をつくりたいと思います。


弟子たちのことをこの機会に紹介しようと思います。
弟子は僕が靴づくりを伝えているシューズワークリレイションを受講して、
1年間僕と一緒に靴づくりをやってきました。
ベビーや小物、自分の靴など、1年間でいっしょにやってきたことはカタチにしてみれば
たったそれだけのことですが、いっしょにテーブルを囲んだ時間と会話と空気は、靴の技法以上に大切なことを含んでいました。手を動かしながら、何気なく話すその日その日の出来事やこども、政治、原発の話。これまでは妻と二人だったけれど、いまは弟子という家族が増えて、仕事が一段と愉しくなっています。

1番弟子の星さんは細かいことに集中できる人で、革の端切れを上手に使います。手もよく動いて、感覚の豊かな人。ここに来てまだ1年だけど、いま自分の出来ることを考えて、見付けています。今できることを考え、最大限に自分を活かすことができれば、もう立派な大人。僕が偉そうなこと言えるのは、せいぜい靴の作り方を教える時くらいです。僕は彼女をとても信頼しています。

もう一人の弟子の熊谷さんは僕がこの仕事を始めて最初の生徒さんでした。だから5年もいっしょに靴をつくってきましたが、いつも丁寧に丁寧に作業していて、進行は早いとは言えないけれど、見ていると急かしたくなるどころか、逆にこちらがその歩調に合わせてしまう不思議な方です。そんな熊谷さんはもうすぐ結婚をして、岡山へ引っ越してしまいます。彼女がここで最後につくった靴は自分と旦那さんのおそろいのルームシューズ。妻のコモンシューズをとても気に入ってくれて、ルームシューズにアレンジしてつくりました。
思い返せば、一番最初につくった靴も妻とおそろいのギリーシューズで、今でも一番よく履いているようです。いつも可愛らしくコーディネイトしていて、本当によく似合っています。最後につくったルームシューズは、きっと新婚さんの温かな家でたくさんの人から注目を浴びることだと思います。本当に可愛い。シューズワークリレイションの1年間でこの素敵な靴をひとりでつくれるようになったのも、ここから遠く離れて1人で靴づくりを続けていく決意があったからだと思います。でもきっとこの靴が強い磁力をもって、すぐに素敵な仲間に巡り合えると思っています。もちろん僕もこれからもずっと彼女の仲間です。


シューズワークリレイションでは靴の技術を伝えることよりも、その使い方をいっしょに創りだしたい。1年で見付かる人もいれば、10年かかる人もいるかもしれない。それでもその初心を忘れずにいられるのは、お金や技術、損得勘定で結ばれた仲間ではないから。
ひとりでやろうとするから、人を信じれなくなる。人を信じれないから1人でやるのか。
まずは最低でもテーブルを囲んだ人たちが誰も不幸せにならない方法を探せばいいと思う。
決して簡単なことじゃないけれど、それを可能にするのは、それこそ技術や画期的なアイデアではなくて、単純に人を信じることなんだと思う。
そして、僕らはこのテーブルの先のことも前のことも想像できる力を持っています。健やかで笑顔の溢れる社会はこんなところからでも創りだせる。




2013年8月3日土曜日

6月15日にお越しになったHさまへ

6月15日に小山から
ご家族3人でお越し下さいましたH様。
大変申し訳ありませんが、こちらの不手際でご連絡先を
間違えて登録してしまいました。
ブログをご覧になられましたら、メールかお電話を頂けますでしょうか?

靴のお渡しのことで、ご連絡したいことがあります。
よろしくお願い致します。

靴をお待ちになっている皆さまへ
先日末に体調を崩し
いまだに、ハサミも使えない状態です。
薬がなく、自然に経過するのを待つしかないようです。
具体的にいつ復帰できるかわかりましたら
順次ご連絡致しますので
もう少しお待ちください。ご迷惑おかけします。

また、みなさまのご理解と優しいお言葉に感謝しております。
いまはしっかり療養し、よりよい状態で仕事復帰することを誓います。

小林智行