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2013年9月11日水曜日

スターネット オーダーシューズサロン


歩き方の癖はひとそれぞれにあります。
癖を矯正することを考える前に、
どうしてその癖がうまれたのか
癖がうまれた理由のほうが知りたいのです。
なぜなら、癖もなおした方が良い場合もあれば、
なおさない方が良い場合もきっとあると思うからです。

元気良く手を振って大股で歩くほうが健康に良いといっても
時と場所と身なりによります。
身体のぶれを最小限にして、身体への負担を軽くしようといっても
誰よりも遠くへ、誰よりも速く歩くことは望んでいません。
疲れたくないと思っている人は多いようですが。。

正しい身体の使い方は、
身体の一部である“頭”だけで考えた不自然な使い方です。
頭で考える正しさよりも、
頭で考えない自然な身体の使い方が望ましいのかなと思います。

先日のお客様は靴底を修理してほしいとお持ちなったのですが
とてもバランスがよく消耗していたので、
「このままもっと使って減ってしまっても靴も身体も大丈夫ですよ」と、説明しました。
そしてきっと、新品の底よりも歩きやすくなっているはず。
スターネットのオーダーシューズサロンで1年前につくった白い靴。
身体と相性が良いその靴は、靴底がすり減っても
均整のとれたまっすぐな佇まいをしていました。

ちなみに身体障害者の方は靴を半年くらい履いて、自分の歩き癖を靴におぼえさせます。
靴底がちょうど交換時期になるころ、最高に歩きやすくなっているから、
元に戻す修理ではなく、修理前と同じように修理することに気を付けます。
これがとても難しいのです。
その人の自然な歩行を靴のつくり方はひとそれぞれ。
教科書の正しい歩き方は数億分の一の例。
癖を活かす靴づくりの道のりは険しいけれど、愉しい仕事です。

オーダーシューズサロンでは
そんな靴づくりを実践し、健やかな身体と心を育みたいと思っています。

毎月第1,3土曜日 スターネット益子店でお待ちしております。


2013年8月29日木曜日

病の活用

体調はすっかり良くなり、
この夏に出来なかった仕事が山積みだけど
途方にくれるほどの数でもなく、
淡々と丁寧に作り続ける持久力が
この病の間で蓄えることができたような気がしています。

平日は自分のリズムでしっかり働き、休日はお客さんや家族と足並みそろえて過ごす。
心地良い日々の再開。
今日も午前と午後にお客さんのご家族がいらっしゃって、
そのたびにコモンシューズハウスが活き活きとしてくるのがわかります。



15年以上、足の小指の根本にある大きな胼胝。
右足の幅はこいつのせいで5ミリ以上左より大きい。
病気の前兆はこの胼胝の痛みでした。
胼胝に余計な力が掛からないような丁度良いバランスに身体を仕向けることができないと、
いくら幅の広い靴を履いても効果はありません。
僕の場合、義肢装具の勉強をしている時に、そのことに気付いて
バランス調整の靴をつくり、1年でその悪い癖を改善しました。20代前半の時です。
一度できた胼胝は癖の改善だけでは消えはしないのですが
気にならなくなって過ごすことができるようになりました。

その後約10年、痛みがでることはなかったのですが
今回の病気は、10年ぶりにその胼胝が痛みだして、
身体がオカシイぞ、と不安な、嫌な予感を感じていました。
その晩、39度を超える熱と手足におびただしい発疹がでて
大変な痛みと痒みが続きました。

そして今、その発疹と戦った手足の皮膚が剥けて、新しく再生中です。
その大きな胼胝も綺麗に取れてしまい、つるつるツヤツヤの肌になっています。
生まれ変わった気分です。
またあの大きな胼胝ができないように
ここからさらに気を引き締めて、身体を丁寧に整えてつくっていきたいと思っています。



病気で身体が弱ることはなく、
むしろ、病は弱った体を再び活性させてくれる。
強くしてくれる。
子どもと二人並んで布団で丸くなりながら
そう励まし合うのでした。
でも乗り越えるのは大変だったぁ。子供ってすごい強い。

身体が回復へ向かうこの1週間、
友人たちのめでたい話や、嬉しい話が次々に飛び込んできます。
夏前より、200%逞しく丈夫になれそうな気がします。

見目さんのコモンシューズ1年半。陶芸の土で独特な経年変化。

2013年8月21日水曜日



僕の益子の父、馬場さんと今生のお別れをしました。
必ずまたいっしょに仕事ができると信じていたのですが
本当に残念で仕方ありません。思い出すと悲しくて悔しくてまだ泣きそうになります。
僕の靴を一番理解し、信じ、愛し、応援してくれたのが、馬場さんでした。
馬場さんはこれから母性の時代と言っていましたが、
馬場さん本人は素敵な父親でした。
父の無償の信頼。
それは無償の愛と似ているけど、
母親とは違う、もう1つの愛があることを
身をもって態度で教えてくれました。

馬場さんはいつも夢を追いかけている人でした。
僕が馬場さんに心から惹かれるのは、その夢の中身以上に
それに向かう愉しそうな生き方が、眩しいくらい輝いているから。
馬場さんに会う人はみな、そんな馬場さんが大好きなんだと思う。


「靴って面白いねぇ。ほんの少しのことで身体が変わる。」
そう話す馬場さんは本当に愉しそうでした。
馬場さんから、素敵な夢を与えてもらっている。
「世界一の靴屋になること」
僕にまだその力はないし、一人で叶えることのできる夢じゃない。
だから馬場さんはスターネットをつくり、アートワーカーズギルドをつくった。
ここで世界一の仲間に出会いたい。
スターネットは星座のように無限に繋がる光の輪。
世界のコンフォートシューズを扱い、自社製も手掛ける種本さんと
日本で最も魅力溢れるハンドメイドシューズ作家曽田さんが
もうその夢の舟にのっている。奇跡的なことだ。

馬場さんは、理想郷をつくりたいと言っていたけど、
終わりはないとも言っていた。
それは場所じゃないと言っていた。
自分そのものにあるものだと。
だから、僕は
世界一の靴屋という素敵な夢を追い続けて、
今日も明日も10年後も、靴づくりに励みたいと思う。
馬場さんのように、生きていきたいと思う。


2012年土祭 zone前 左から非電化工房の藤村先生夫妻と馬場さんと僕。




2013年6月21日金曜日

高知にお礼

ギャラリーm2の中西さん、今城さん、坂本さん
4日間どうもありがとうございました。
たくさんの方に見てもらえて本当に良い経験になりました。
未熟な僕に大きな機会を与えてくれたこと、感謝します。
今城さんのディスプレイで、靴とクロマーが仲良く並んで
見ているだけで楽しい展示会になりました。
ととやさんのご飯もとっても美味しかったです。

そして、
ギャラリーm2へ展示会を見に来てくれた方々に
心からお礼申し上げます。

Terzo tempoの佐野君、ななさん
どうもありがとう。会うたびに距離が縮んでいく有難い関係です。
サンダルワークリレイションも大成功でした。
手づくりの楽しさをこのWSでいつも再確認しています。
手足で考え、手足で想うことがこのワークショップの愉しさです。
育てていきましょうね。

美味しい日付 なえさん
今回もワークショップの美味しい晩ごはんをどうもありがとう。
てのひらワークスの夜と題された夜のメニューが本当に嬉しかったです。
その料理は素朴さと温かさと愉しさが詰まっていて
なえさんの手料理に酔いしれた夜でした。

歩屋のあゆみさん、
今回、高知入りして最初に食べたのが
あゆみさんの歩屋ランチでした。とっても美味しかった。
どうもありがとう。

雨風食堂の伊藤さんご家族、
サンダルワークリレイションのご参加ありがとうございました。
ご主人のとっても楽しそうな笑顔にみんな癒されていたと思います。
6月オープンの「雨風食堂」。楽しみです。
今回つくったサンダルが土間できっと活躍してくれると思います。

山本さん、友行さん。
サンダルワークリレイションご参加ありがとうございました。
自分で考え、目の前にあるものでカタチにするのは、僕でも難しいことで、知力も体力もいります。
達成することに必要なのはつくりたいという気持ち。
それが伝わってくる熱中ぶりでしたよ。またいっしょに遊びましょう。

まーさん堂のまーさん。
5日間、どうもお世話になりました。
毎晩帰宅が遅くなって、ご迷惑おかけしました。
日曜市もいっしょに回ってくれてありがとう。
ゆうる。また遊ぼうね。

TABI食堂のささたくやくん
展示会に何度も足を運んでくれてありがとう。
同じ“靴をつくる人”として、その姿勢に尊敬しています。
これから靴の学校でいっしょに靴づくりができることが
本当に楽しみで仕方ありません。
身体をつくる靴をいっしょに生み出せていけたらと思うと
ワクワクします。
四万十へ今度遊びに行きますね。

下本一歩さん、西森まりこさん
WSに遊びに来てくれてありがとう。
サンダルの修理うまくできましたか?
お二人とも手が器用でよく動く方なので、
あっという間に靴のつくり手になってしまいそうです。

トラネコボンボンなちおさん
ジャガイモのフォカッチャ、とっても美味しかったです。
思わず、2日連続で足を運んでしまいました。
MIETTEの10周年と重なってラッキーでした。
多聞へ描いてくれた犬、とっても気に入っていますよ。
ありがとう。

Decembreの森君
展示会の休憩にいつも寄らせてもらっては
食べたいものを丁寧に聞いてくれてありがとう。
今度は夜にご飯を食べに行きますね。

Padmorの上田さん、朝のチャイ美味しかったです。
ありがとうございました。
愛媛へも遊びに行く時は、遊びにいきますね。

フルヤジ農園さんの畑のラー油が美味しい。
まるふく農園さんのお花畑クッキーがとても可愛い。
塩野真弥さん、川村愛さん、山崎道さん、
まなべ商店真鍋久美さん、大地山教生寺の岡崎さん。
名前の交換さえしなかったけれど
目を合わせ、言葉を交わしてくれた人達に、
どうもありがとう。



今度は秋に行きます。また会えることを願って。

高知では激しい雨が続いているようです。
無事をお祈りします。

2013年1月31日木曜日

土づくり靴づくり

僕は靴をもうあまり履物とは思っていなくて、
じゃあ何かをいえば、それは土壌だと思っています。
柔らかい土、硬い土、
乾いた土、潤った土、
平らな土、凸凹の土、
いろんな土に足をのせて、身体を育てる。

どんな土とも寄り添って
その土でしか見られない美しい花を咲かせる
そんな人になりたいと思う。

 
たくさんの素晴らしい靴がある。
でも、それ以上にたくさんの粗悪な靴がある。
花を咲かせる力を削ぐような靴。
生きようとする意思を萎えさせる靴。
 
田舎に暮らして知ったことは
土づくりは時間も手間もかかる、とっても大変な作業だということ。
でも夢中にさせるものがある。
きっと靴づくりと似ているからなんだと思う。


2013年1月8日火曜日

新年のご挨拶が遅くなりました。
あけましておめでとうございます。

今年の最初の靴はこどものファーストシューズでした。
こどもに初めて履いてもらう靴をつくろうと思ったのは
この子を取り上げてくれた助産師の中田先生が
“産まれてきた赤ん坊がはじめて袖を通す衣服だけは
新品の肌着にしてほしい”と、優しく諭してくれたことがきっかけでした。
手づくりではなく、新しいものというこだわりに
自分の子供への愛ではなく、ひとりの人への礼を感じました。

昨年の春に買ってから
一度も使わずにずっと大事にしていた白なめしの鹿革を
この年初めにファーストシューズに仕立てることとなりました。
出来上がってみると、(出来上がるまで大変でした。これはまた後日)
最初に着たオーガニックコットンの肌着を
連想させるようなカタチになって、それがとても嬉しかったです。

タイミングを合わせてくれたように
年明けから少しだけ歩くようになりました。
とーーても嬉しそうな顔をして歩きます。
どんな気持ちだろう?
きっと僕らが空を飛ぶような気持ちなんだろうって想像しています。


2012年12月24日月曜日

20年後

11月、葉山の友人Yさん家族が遊びに来てくれました。
妻の大学時代の先輩で
長女のさとちゃんは息子多聞と誕生日が近くて
ふたりの子どもが同時にできたような、
そんな気持ちは、きっとお互い持っているような気がします。


Yさんはいつもダナーのハイカットブーツを履いていて
それがまたとてもよく似合う。
愛用しているダナーは自分で靴底を修理しながら
もう20年は履いているそうです。
人間にしたらいくつくらいでしょうか。
私は健気で逞しいその靴の雰囲気がとても好きです。

そんなダナー先輩に憧れて
20年愛用してもらえるように
Yさんの靴をつくりました。
栃木レザーの肉厚のオイルレザーと
丈夫で弾性のあるウォーキングソール。

20年後、
子どもたちは二十歳。どんなことに夢中になっているでしょうか。
まだいっしょに暮らしているかな。
きっと子どもたちは覚えていないけれど
覚えていないからこそ、
きっと子どものころが知りたいに違いない。
子供に聞かれるかもしれない。

その時、
健気で逞しく佇むお父さんの靴が
この秋を、この時代を思い出すトリガーになってくれたら
この上なく嬉しい。

20年後もきっとまだ福島では放射能と向き合っているに違いない。
今日の子供たちは私たちを軽蔑するだろうか。いや、しないだろう。
きっと私たちよりもずっと強い人だと思うから。
ナウシカがそうであったように。



2012年12月22日土曜日

縫うひととき

久しぶりの更新になってしまいました。
いろんなことがあって、何から書いていこうか
悩んでいます。

私のつくる靴は
すべて手で縫う箇所があります。

ミシンでは心許無いところは
錐で穴を空けて、太い糸を交差させてしっかりと縫います。
革の表情をみながら程よい加減で
優しく力を込めて、祈りを込めて。

それはおまじないか、願掛けのような仕業です。

履く人のことを想いながら
靴をつくれる喜びが
あつらえ靴にはあります。

糸が切れてしまったら
また会いましょうのsignです。


写真は、先日糸が切れてしまった
スターネットの星さんへつくったオーダーメイドシューズ。
東京も、山も、これで行くのよ。と
いつも笑顔で話してくれます。

2012年11月8日木曜日

カフェのご主人

山梨でのWSの前日、富士川町にできたアヌッタラへ行ってきました。
アヌッタラは日蓮宗昌福寺の門前にあるコミュニティハウス。(だと私は思っている)
「ナイスタイムカフェ」と「育てるきっちん」のふたつのお店が出迎えてくれます。

アヌッタラ内装を手がけた森沢さんのオリジナル薪ストーブ。

ナイスタイムカフェのご主人中村さんと初めてお会いしたのが、
まだアヌッタラが出来る前の1年前の夏。
そのころは私は山梨への移住を考えていて、昌福寺へ相談したところ
先に移住を決めた中村さんを紹介していただいたことが縁でした。
同じ時期に同じ場所への移住を考えた中村さんご一家は私たちにとって
とても心強い存在であり、短い時間のなかで交わした会話に
当初ずいぶん助けられたことを思い出します。

この春に茂木に引越し先が見つかり、
移住前の3月、山梨移住のことでいろいろとお世話になった昌福寺へ挨拶に行きました。
中村さんとはタイミングが合わずお会いできず、
今回やっと1年ぶりに再会することができました。
会った瞬間になんだかほっと安心した気持ちになったことが自分でも印象に残っています。

はじめて会った時は
中村さんも私もまだこの先のことが揺らいでいて落ち着きのない暮らしでしたが
この1年で、中村さんはお店を山梨で再開することになり、私も茂木でアトリエを持つことができて、お互い地に足を着けることができました。
中村さんがとても素敵な人と場に巡り合い、いま目の前にそれが新たなナイスタイムカフェというカタチへとなって、あの日中村さんご夫婦が笑顔で出迎えてくれたことが
自分のこと以上に本当に嬉しかったのです。
人としても仕事にしても大先輩である中村さんに対して、
大変おこがましいのですが、
自覚していなかったけれど、私は心の片隅で気になっていたようです。

そしてそれは中村さんも同じであったことを今回知ることができました。
今回はカフェでゆっくりとお話する時間を持つことができて
優しいお気遣いのお言葉をいただき、こんなに優しい人は初めてだと思いました。
奥様も私の妻にいつも話かけてくれて、楽しそうな妻の弾んだ声が聞こえてきます。
私はずっと食べたかったエビオムライスと珈琲を注文して
家族でお腹もココロも満たされた、山梨旅行初日になりました。

私にはお気に入りのカフェは
山梨のナイスタイムカフェと鎌倉の416
それらに惹かれる理由、カフェに求めるものは、
当たり前のことですが美味しさ、
そしてなによりも、ご主人のお人柄。
でもなかなかこの二つを兼ね備えているカフェはありません。
ぜひ足を運んでください。ちなみにふたりとも偶然、中村さんです。

写真は昌福寺からみるアヌッタラ(2012年3月改装中)
富士川町は山と川の景色が素晴らしいのです。

2012年11月4日日曜日

山羊飼いの靴


オーガニックハンドルームの靴は
できる限り手を加えずに作りました。

当初の意図にはありませんでしたが
とりあえず出来たその靴には
手を加える余地が残されていることに気付きました。

履き手が使いながら、自分の暮らしへと手を加えていく。
エイジングとはただ手沢が現れてくるだけではなくて
その人形(ヒトナリ)のデザインが現れていくことでもあると思います。
それが出来る人になって
そのお手伝いができる人となって
自分がつくった赤子のような靴を見守っていきたいと思っています。

写真はスターネット益子店スタッフの早川さんの靴。
山羊のメメちゃんの毎日のお散歩は
斜面を登ったり降りたり、けっこうハードなんだそうです。
そんな日課のお仕事を考慮して
底ゴムの張替えの時に
元よりもすこし軽くして、接地面積もすこし広げました。
加工によってすこし履き心地がゆるくなってしまいましたが
「冬は靴下を重ねて履くから、問題ないですよ。」と満足してくださいました。
暖かい季節になったら、中敷で調整しようと思っています。

つくることだけに終わらずに
繕いながら、その革が地に還るまで手を添える、
始末の良い仕事にしたい。


と、格好いいこと言っていますが
オーダーメイドシューズでは調整、修理は日常茶飯事です。
満足のいく履き心地をつくり、維持するのは簡単じゃあありません。
日々頭を抱えております。

2012年10月20日土曜日

自分を偽らない靴


先日、整体のご指導をうけて、骨盤の位置を調整していただきました。
いつも操法のあとは気持ちよく背筋が伸びて、
前までがいかに固く縮こまってことに気付きます。

操法の次の日、いつも通り靴を履いて朝の支度をしていると
なんだかとっても靴の履き心地がいいことに気付いたんです。
先生にも立ち方、重心の位置が変わっていますよ、と言われていましたが
靴の履き心地まで変わるとは想像していませんでした。

言葉にするのが難しいのですが、
足全体が地面に踏みしめている感じがすごく伝わってきて
温かくて、少しくすぐったいほど心地がよくて、
しばらくその感覚に身をゆだねていました。
自分のつくった靴にうっとりしてしまいました(笑)

身体の調子でこんなにも靴の感じ方が違うなんて
初めての体験でした。
良い靴はなんだろう、
足に良い靴とはなんだろう、とまたまた考えてしまいます。
どんな調子の時でも心地よく歩かせてくれる靴なのか。
身体と調子を合わせるような自分を偽らない靴なのか。

良い姿勢だから調子がいいのではなくて
調子がいいと、自然と良い姿勢へとなるような生き方がいいなと思います。
体調が悪い日があって当たり前ですからね。
調子がいい時は、つまり感覚が豊かで優しくなっている時です。
ご飯が美味しく感じれたり
雨音が子守唄のように聞こえたり
花の香りで深呼吸をしたり
靴が大地と繋がっているように思える。



だから自分に合っている靴を探すことは
思った以上に簡単かもしれません。
いつも心身健やかに生きること。それが一番です。
二番目にてのひらワークスで誂え靴をオススメします。

2012年9月23日日曜日

岡村美穂子さんのお話



先日は土祭セミナーによる
岡村美穂子さんのお話を聞くことができました。

わたしの記憶の範囲ですが
間違いもあるかもしれませんが
とても素敵な1時間のお話でしたので
来れなかった方へすこしおすそ分けしようと思います。

岡村さんは仏教思想家の鈴木大拙の秘書を長年務めた方で
約半世紀前に益子へ訪れ、濱田庄司の家に泊った日のことを
丁寧にお話してくださいました。

本でしか知ることのなかった
記号のような白黒の情報としての濱田の言葉が
岡村さんがそのひとつひとつをかみしめるように何度も口に出す度に
臨場感にあふれ、当時の景色がこちらにも伝わってきて、
とても新鮮で生々しくて、私の記憶にも刷り込まれていくのが
素直に嬉しかったです。
益子参考館の見え方が変わる、そんな愉しいお話でした。

そして、「無心」ということについて
時間をかけてお話してくださいました。

アメリカで育った岡村さんは
日本の暮らしに宗教の時間がないことに戸惑い、
鈴木大拙先生にそのことを相談したところ、
「日本人にとって、文化=宗教だ」と教えてくれたそうです。
日本の文化である、道がそうです。
柔道、茶道、華道、合気道、弓道、、、
道を語る上でたびたび出てくる、無心という言葉。
それも何なのか、わからなくて、知りたくて
鈴木大拙先生に尋ねたそうです。

 人はその脳の発達のお陰で
 自我を手に入れることになった。

 自我を手に入れることで
 主観と客観の概念が生まれて、もともと1つだった人は
 その二つに分かれてしまった。

 二つに分かれたことで、
 人は迷い、止まり、間違えるようになった。
 
 それではまたひとつになるにはどうしたらよいか。
 どうしたらひとつになり、ひとつだった本来の人になれるのだろうか。
 ひとつの自分を取り戻すためには、どうしたらよいか。

 それにはただ反復しかない。
 繰り返し繰り返し、稽古に励むことで
 いつか、勝手に手が動くようになる。
 動かそうとしたら、そこにはもう自我が入り込んでいる。
 動かすのではなく、動く。

 それが無心です、と。
 
岡村さんは濱田先生のことをもう一度話してくれました。
ある朝、濱田先生が湯のみをつくっていたそうです。
それも早朝に弟子が工房へ来た時には、既に75個も出来ていたそうです。
それで、その弟子が濱田先生に夜通しやっていらしたのですか?と尋ねると
濱田先生は1時間だと、このくらいどこの陶工もやってしまうことだ、と。

つまり、少しでも自我が入り、少しでも迷えば1時間で出来るはずがないんです。
無心でないと、こんなことはできない。
身体は自分の意思で動かすのではなく、なにか別の力によって動かされている。
生きているのではなく、生かされていることを知る。

そうして生まれた湯のみはきっと
無作為で健康で美しいのでしょうね。

この話を聞いて、
靴作りも靴道となるのかなぁと思いました。
無心に至る道は、反復。
私の一番苦手な、反復。
これからのいい修行になりそうです。

2012年9月19日水曜日

terzo tempo 佐野寛君


terzo tempoのことは
3,4年前から、パタゴニアの南喫茶店から聞いていました。

terzo tempoの佐野君は、パタゴニアの南喫茶店の店番1号と
東京で音楽を通じて知り合い
5年ほど前に、佐野君は高知、一号は山梨で小さな喫茶店を始めています。

店番1号は山梨では有名な音楽家の顔をもっていて、
高知でもたいへん人気にある方です。
有名なところで言えば、牧野植物園でライブを開催している。
もちろん、terzo tempoでも。

そんな1号に高知の素晴らしさをずっと聞いてきた私は
いつか高知を訪れ、佐野夫妻に会いに行こうと思っていました。

そして、その機会が今年の春に訪れました。
高知のギャラリーM2でグループ展を開くことになり、
そのひとりとして参加させていただくことになったのです。
M2さんとterzotempoは歩いても行ける距離だったので
展示会のお昼休みを利用して、ランチを食べにterzo tempoへ。

そこで自己紹介をすると
佐野夫妻も私のことを1号から聞いていたようで
急な訪問だったのにも関わらず、温かく出迎えてくれました。

その日の夜、佐野君に飲みに誘ってもらい、一歩君(竹作家)もいっしょに
3人で夜遅くまで話をしました。
これからの生き方について。
つまりこれから私たちがつくる世界について。
高知県は経済的には豊かな県ではありません。むしろワーストに入るくらいです。
その暮らしに欠かせないものは、美味しい食べ物と明るい笑顔の仲間たち。
そのふたつが高知の自慢であり、私が惹きつけられる理由です。
食べ物を自給し、仲間で助け合い、必要な分のお金だけ稼ぐ。
それって幸せですよね。

サンダルワークリレイションは
そんな高知の夜の余韻のなかで浮かんできた取り組みです。

だから、この取り組みは
高知でどうしてもやりたかった。
高知でしかできないと思ったし、
Terzo tempoの佐野夫妻が
私の取り組みに最も相応しい場所と人を提供してくれると
感じたからです。

そして、サンダルワークリレイションは
高知の素晴らしい場所と人に迎えられて
とてもとても愉しい時間をみんなで共有することができました。
参加者は下本一歩さん、歩屋のあゆみさん、R荘の藤原君、
モントリオールからの旅人ジェレミ―、アーティストのまりこさん、
靴職人を志す石元さん、佐野夫妻。
みんなとっても優しくて温かくて、、帰りの飛行機で思わずグスンと。

私の仕事はこの日のことを次に伝えていくこと。
10月のパタゴニアの南喫茶店で
“この日のこと”が先生となります。お楽しみに。




写真は旅人ジェレミ―。
今度はモントリオールでサンダルワークリレイションやりたいと言ってくれました。
だれかいっしょに行きませんか。

2012年9月7日金曜日

大きな虹 と 深い霧



大きな 大きな 虹をみた。

夕焼け空に 浮かび上がった 半円の虹

雨が降って 涼しい夜風と 朝の森を覆う深い霧

夜の工房では 鈴虫が小さい身体で大きく鳴いている

秋はもうすぐだ



 

2012年9月2日日曜日

月光

窓から見える8月31日の満月。
ひと月に2度目の満月をブルームーンと呼ぶみたいです。

東から顔を出し、
南の空の天高く頭上高く浮かび上がっていく。

月の灯りになんだか安心して
夜の工房でついつい仕事をしてしまいます。

言い忘れましたが
一歩さんの住む村の森には、乙事主が在るようです。
一歩さんの目撃情報によると
大きな馬と間違えるほどらしいです。

ブルームーンが照らす森に現われる。
としたら、神秘的ですね。


2012年8月21日火曜日

残暑お見舞い



遅くなりましたが
残暑お見舞い申し上げます。

まだまだ暑い日が続くようですので
身体を壊さないように気をつけましょうね。

昨日は庭でサワガニを見つけました。
それだけでちょっと涼しい気持ちになります。

2012年8月18日土曜日

花火


お盆が過ぎても
まだまだ暑い日が続いています。
それでも朝晩は気温が下がり、
山からの涼しい夜風が一日の疲れを癒してくれます。

ドン、ドンと大きな音が近くでするなぁ、と思ったら
窓に映る綺麗な打ち上げ花火。
夜空にひかりの輪が広がって、遅れてドンッと聞こえてきます。
私はその間が好きです。

田舎の小さなお祭りの
派手な告知もない小さな花火大会。
耳をすますと聞こえてくるほどの
お祭りを楽しむ人々の歓声が心の奥に響いて、なんだか良い心地になります。

子どもを授かってから
花火大会はもちろん、夜に出歩くこともなかった私たちですが
今年は家の窓から大きな花火を楽しむことができました。

来年は出かけてみようかな。



2012年8月7日火曜日

グー

今年の夏は
鼻緒のサンダルをつくりました。
自分の履きものをつくるのは久しぶりです。

鼻緒のサンダルは一見とても簡単そうにみえますが
いざつくってみると、なかなかうまくいかないのです。
もちろんすぐにカタチには成りますが、
履き心地が悪くて、なんだか腑に落ちない。
じつはこれを数年繰り返していました。
すっかりつくる気が失せてしまっていたのですが
また火がつく出来事がありました。

昨年の夏に、葉山の子どもたちと一緒につくった鼻緒サンダルワークショップ。
自分でサンダルをつくる楽しさが部屋全体を包んでいる愉しい会でした。
先日、そのワークショップに参加してくれたご家族に会いに行ったのですが
そのお宅まであと少しというところで、
向かう先から女の子が元気良く走ってきます。
誰かはすぐにわかりました。その家族の長女Sちゃん。
そして、履いている一緒につくったサンダルにも。
今年もまた履けるよ!とその黄色いサンダルを見せてくれました。
これには本当に感激しました。本当に胸が震えました。

鼻緒でアスファルトの上さえも軽快に走るSちゃんに刺激を受けて
また自分のサンダルをつくる気になったのです。

鼻緒のサンダルは足をグーにして掴まなきゃなりません。
指をパーのように伸ばすことばかり健康靴は謳うけれど、パーのままでも駄目なんです。
グーからパー、またグー。
掴んで(拡げて)、また掴んで。
足をパーにしてしっかり地面を踏みしめて、
蹴りながらグーにして足をぐっと持ち上げる感じ。

鼻緒サンダルはあのシンプルなカタチのなかに
グーとパーのふたつの状態の足を含んでいて、
歩く動作に一番近い履き物かもしれません。
今後もいろいろと試したいことがあって
靴作りにますますのめり込んでいくのでした。

写真はSちゃんの手づくりサンダル。

2012年8月1日水曜日

ひかり

社会が大きく揺らいでいる。

不安な気持ちがあふれている。

戦争という文字が浮かんでくる。

戦いたくない。傷つけたくない。

下を向いてもいられない。

強い者にかみつかずに、

弱い者に手を差し伸べられるなら

迷いはない。

それなら私にもできる気がする。

国民の暮らしを決めるのは政治家ではない。

私たちの暮らしは私たちで決める。

ひとそれぞれ違ったっていい。

幸せはみんな同じではないこともわかっている。

私には愛する人たちがたくさんいる。

生き方も仕事も、目指す未来も、全然違っても

めでたいことはいっしょに喜び

悲しいことはいっしょに涙する。

矛盾していてもいい。嘘をついてもいい。

きっとひとりではない。ひとりだったら決していまはない。

そうやって私は

この世界とかろうじて繋がってきたんだと思う。

そして、これからも同じことを繰り返す。




愛する妹の結婚を前にそんなことを心から思う。

2012年7月17日火曜日

先日、3回目となる蛇との戦い。
狙っているわけではないのですが
つばめの巣に近づこうとする蛇君に
ちょうどそのタイミングででくわすのです。
また見つかった。。と残念そうに逃げていく後ろ姿。
その勝負運の悪さが哀れで、
なんだか同情して駄目な奴だな~と
今度は見付かるなよと言いたくもなります。

そんなことを知ってか知らずか
2羽の燕が慌ただしく飛び回っているなと思っていたら
小さいお顔がチラチラ。小さな鳴き声がチッチッ。
雛が無事に産まれたようです。
ほっとしました。

先日、保健所から電話があり
地元の高校生に子育ての話をしてもらえないか、とお願いをされ
家族3人で高校生たちに会いに行ってきました。
同じように依頼を受けたご家族も集まって
地元の高校生たちと数十人に囲まれて
和気あいあいと賑やかな集会となりました。

そのとき、高校生からの質問で
「赤ちゃんが産まれて嬉しかったことはなんですか?」
と聞かれてうまく答えることができませんでした。

うれしい、と思ったことがすぐに浮かんでこなくて
辛いこと、大変なことばかりだったことに改めて気付きました。
嬉しいことがあるから、子育てをしているわけではないし
見返りがあると信じているわけでもない。
でも自然と身体は動いている。
一生懸命になれることに理由はないんだけど
その高校生は、子育てにはなにか旨味があると純粋に信じているんだなと思いました。

私もそうでした。幸せそうな家族をみて、そう信じていました。
でも子どもを授かってからは毎日毎日と1日単位で区切れないほど
休みなく子育てに追われて、それは思い込みであることに気付かされます。
親になってわかったことは
嬉しいより、楽しいより先に
勝手に身体が動くようになること。
命を育むのはおなじ命。
大きいも小さいもない。
必死で生きようとする命に、必死になって命で応えなきゃ
小手先では通用しない。
でもその繰り返しのなかで
いっしょに成長しようと希望ばかりが目の前に浮かぶ。
だから子育てが愉しくて仕方がない。

つばめさんも毎日必死に蛇や雀と戦いながら
雛に餌を運んできます。休んでいる暇などありません。

育児は大変でしょう。
大変だなんて考えたこともないよ。当たり前のことだから。
頭で考える前に、身体ふかくからの衝動に素直に動いているだけだよね。
そうなんだよ。理由もなく可愛くて可愛くて仕方がないんだよ。