2013年3月14日木曜日

Common Shoes House  コモンシューズハウス


来月、4月12日(金)より週末だけですが
靴のお店「コモンシューズハウス」をひらきます。
お近くにお越しの際は、お立ち寄りください。
HPも更新しましたので、ぜひお時間あるときにご覧下さい。


2012年は茂木町の静かな山のなかで、
放射能汚染をうっすらと肌で感じながら、
度々揺れる小さな地震に肝を冷やしながら、
かけがえの無い家族の時間を大切にしながら、
2年前の震災から立ち止まっていたけれど
次の一歩を踏み出す想いを胸に膨らませていた期間でした。


2013年は
ここで、小さな靴屋を始めます。
コモンシューズハウスという名前をつけました。
これまでの仕事(靴)が
自分とちゃんと向き合って
毎日を丁寧に暮らすことの結果だとしたら
これからの仕事(靴)は
他人とちゃんと向き合って
社会や地球に生かされている暮らしに従った結果だと思っています。


いまだに復興のために
何ができるかはわかりません。
現地で除染の作業を1分だけでも。
いまだ行方の分からない方の救助に1日でも。
そう思っても体は動きませんでした。
うしろめたさも感じます。
でももし僕が被災者だったら
助けて欲しいと願う一方で、
守るべきものがあるのなら、
それをちゃんと離さずにいてほしいとも思う。

大切にしなきゃならないことは
多くは抱えきれないこと、
この身体とこの一生には思った以上に小さいこと。
当たり前のことですがようやくわかった気がします。

2013年2月12日火曜日

靴の祝福


子供のファーストシューズをあまり深く考えずに
今まで作ってきたファーストシューズを用意して
のんびり歩き出す日を待っていました。
そろそろかなと思い、試しに履かせてみると、
用意していたその靴がキツくて足が入りませんでした。

指先のゆとりはありそうなのに、
足の甲が分厚く、それが靴のカタチとまったく合っていないことに
履かせてみるまで、気付きませんでした。
というより考えてもみませんでした。

大きめのサイズを用意しておけば、
成長の過程で履ける時がいずれ来ると思っていたのですが
その甘い考えは通用しないことを知りました。
 
こどもが産まれてから
初めて知った、あかちゃんのことがたくさんあります。
赤ちゃんの時はみな似たりよったりと思っていたけれど
本当は赤ちゃんの時ほど、多様な姿、豊かな個性を持っていて
子供になり大人になり、大きくなるほどにそれが失われていく。
大抵の人はそういうものかもしれない。なんだかそれが少し悲しい。
だから、僕は子供たちをこの世界の既存の型に押し込まずに
自由に羽を広げることのできる器をつくりたいと思っています。

我が子のファーストシューズは
足を優しく包むことと、誰でもできることを考えて作り直しました。
専門的な型や道具を使わずに、おうちの手芸でできます。
親子で一対の靴をつくることが当たり前のことになったら
素敵なことだと思いませんか。

ファーストシューズは
一生にひとり一足だけ受け取れる靴。
ありのままを抱きしめてくれる靴。
少しだけ先に産まれただけの大人から靴の祝福。
ようこそ地球へ。ようこそ小林家へ。


2013年2月4日月曜日

靴の学校を始めます。


靴づくりの学校を今春4月より始めることにいたしました。
しごとに靴づくりを加えるコース『シューズワークリレイション』と
暮らしに靴づくりを加えるコース『靴の小学校』があります。
どちらもてのひらワークスの靴づくりを思う存分楽しんでもらえると思っています。

難しいことをより簡単に、
簡単なことをより愉しく、
愉しいことをよりたくさんの人と分かち合うことが
てのひらワークスの靴づくりです。

『シューズワークリレイション』
日曜日11時~15時
年2回 春期4月~6月と秋期9月~11月 
募集人数 1~4名
講習費 15万円(工具レンタル代、材料費込み)

足から靴をつくる技術を学び、実践できる環境をいっしょにつくります。
農業でいえば、ジャガイモを育てるような内容ですが
とびきり美味しいジャガイモ名人を目指します。
2回以上受講すれば、だんだんとひとりで靴が作れるようになります。
まだまだ半人前ですが、半人前も助け合えば1人前です。
仕事に挑戦したい方はてのひらワークスの場所をお貸しします。
欲をいえば、靴の小学校の先生を目指してもらえたら嬉しいです。
靴を通じて社会に役立つ仕事をしたい方や
地方でスロー&スモールな仕事をしたい方なら
愉しく仕事を分かち合うことができると思います。
手っ取り早く技術がほしい人やひとりで仕事したい人、
靴で十二分なお金を稼ぎたい人には向いていませんので、あしからず。



『靴の小学校』
活動日  木~土曜日 10時~12時
入会金  10,000円
年会費  10,000円
参加費  1日1,000円+使用した材料費 

活動日の都合の良い日にいつでも靴づくりをたのしむことができます。
てのひらワークスで販売している
子供靴やベビーシューズ、サンダルやブーツなど
暮らしの日用品をつくるお手伝いをいたします。
近所のお父さんお母さんや、自転車で通える地元の学生、
週末はのどかな里山で過ごしたい方などに来てもらえると嬉しいです。
静かな山のアトリエでモノづくりに没頭する時間を過ごしませんか。

詳しく話を聞きたい方や参加ご希望の方は
工房にて個別に説明を致しますので
ご興味のある方は以下の日程の中から
ご都合の良い日を選んで、Eメールかお電話でご連絡ください。
詳しい住所をお伝えいたします。
真岡鉄道益子駅から車で15分です。

説明会予定日
2,3月の毎週土曜日 13時~15時
開催場所
てのひらワークス 栃木県茂木町

靴を買うときも、つくるときも大事なことは
肌に合う素材を選ぶことや心地良い構造を考えることです。
それは愛情のこもった手料理と同じです。
味の好みや栄養ある素材、調理法を考える。本当によく似ています。
渡す人と受け取る人、1対1でしか創ることのできない関係が
これからの社会を生きるうえできっと必需品となる気がします。
どちらの靴の学校でも
素敵な関係が結ばれていくことを願っています。

2013年1月31日木曜日

土づくり靴づくり

僕は靴をもうあまり履物とは思っていなくて、
じゃあ何かをいえば、それは土壌だと思っています。
柔らかい土、硬い土、
乾いた土、潤った土、
平らな土、凸凹の土、
いろんな土に足をのせて、身体を育てる。

どんな土とも寄り添って
その土でしか見られない美しい花を咲かせる
そんな人になりたいと思う。

 
たくさんの素晴らしい靴がある。
でも、それ以上にたくさんの粗悪な靴がある。
花を咲かせる力を削ぐような靴。
生きようとする意思を萎えさせる靴。
 
田舎に暮らして知ったことは
土づくりは時間も手間もかかる、とっても大変な作業だということ。
でも夢中にさせるものがある。
きっと靴づくりと似ているからなんだと思う。


2013年1月8日火曜日

新年のご挨拶が遅くなりました。
あけましておめでとうございます。

今年の最初の靴はこどものファーストシューズでした。
こどもに初めて履いてもらう靴をつくろうと思ったのは
この子を取り上げてくれた助産師の中田先生が
“産まれてきた赤ん坊がはじめて袖を通す衣服だけは
新品の肌着にしてほしい”と、優しく諭してくれたことがきっかけでした。
手づくりではなく、新しいものというこだわりに
自分の子供への愛ではなく、ひとりの人への礼を感じました。

昨年の春に買ってから
一度も使わずにずっと大事にしていた白なめしの鹿革を
この年初めにファーストシューズに仕立てることとなりました。
出来上がってみると、(出来上がるまで大変でした。これはまた後日)
最初に着たオーガニックコットンの肌着を
連想させるようなカタチになって、それがとても嬉しかったです。

タイミングを合わせてくれたように
年明けから少しだけ歩くようになりました。
とーーても嬉しそうな顔をして歩きます。
どんな気持ちだろう?
きっと僕らが空を飛ぶような気持ちなんだろうって想像しています。


2012年12月24日月曜日

20年後

11月、葉山の友人Yさん家族が遊びに来てくれました。
妻の大学時代の先輩で
長女のさとちゃんは息子多聞と誕生日が近くて
ふたりの子どもが同時にできたような、
そんな気持ちは、きっとお互い持っているような気がします。


Yさんはいつもダナーのハイカットブーツを履いていて
それがまたとてもよく似合う。
愛用しているダナーは自分で靴底を修理しながら
もう20年は履いているそうです。
人間にしたらいくつくらいでしょうか。
私は健気で逞しいその靴の雰囲気がとても好きです。

そんなダナー先輩に憧れて
20年愛用してもらえるように
Yさんの靴をつくりました。
栃木レザーの肉厚のオイルレザーと
丈夫で弾性のあるウォーキングソール。

20年後、
子どもたちは二十歳。どんなことに夢中になっているでしょうか。
まだいっしょに暮らしているかな。
きっと子どもたちは覚えていないけれど
覚えていないからこそ、
きっと子どものころが知りたいに違いない。
子供に聞かれるかもしれない。

その時、
健気で逞しく佇むお父さんの靴が
この秋を、この時代を思い出すトリガーになってくれたら
この上なく嬉しい。

20年後もきっとまだ福島では放射能と向き合っているに違いない。
今日の子供たちは私たちを軽蔑するだろうか。いや、しないだろう。
きっと私たちよりもずっと強い人だと思うから。
ナウシカがそうであったように。



2012年12月22日土曜日

縫うひととき

久しぶりの更新になってしまいました。
いろんなことがあって、何から書いていこうか
悩んでいます。

私のつくる靴は
すべて手で縫う箇所があります。

ミシンでは心許無いところは
錐で穴を空けて、太い糸を交差させてしっかりと縫います。
革の表情をみながら程よい加減で
優しく力を込めて、祈りを込めて。

それはおまじないか、願掛けのような仕業です。

履く人のことを想いながら
靴をつくれる喜びが
あつらえ靴にはあります。

糸が切れてしまったら
また会いましょうのsignです。


写真は、先日糸が切れてしまった
スターネットの星さんへつくったオーダーメイドシューズ。
東京も、山も、これで行くのよ。と
いつも笑顔で話してくれます。