2012年8月7日火曜日

グー

今年の夏は
鼻緒のサンダルをつくりました。
自分の履きものをつくるのは久しぶりです。

鼻緒のサンダルは一見とても簡単そうにみえますが
いざつくってみると、なかなかうまくいかないのです。
もちろんすぐにカタチには成りますが、
履き心地が悪くて、なんだか腑に落ちない。
じつはこれを数年繰り返していました。
すっかりつくる気が失せてしまっていたのですが
また火がつく出来事がありました。

昨年の夏に、葉山の子どもたちと一緒につくった鼻緒サンダルワークショップ。
自分でサンダルをつくる楽しさが部屋全体を包んでいる愉しい会でした。
先日、そのワークショップに参加してくれたご家族に会いに行ったのですが
そのお宅まであと少しというところで、
向かう先から女の子が元気良く走ってきます。
誰かはすぐにわかりました。その家族の長女Sちゃん。
そして、履いている一緒につくったサンダルにも。
今年もまた履けるよ!とその黄色いサンダルを見せてくれました。
これには本当に感激しました。本当に胸が震えました。

鼻緒でアスファルトの上さえも軽快に走るSちゃんに刺激を受けて
また自分のサンダルをつくる気になったのです。

鼻緒のサンダルは足をグーにして掴まなきゃなりません。
指をパーのように伸ばすことばかり健康靴は謳うけれど、パーのままでも駄目なんです。
グーからパー、またグー。
掴んで(拡げて)、また掴んで。
足をパーにしてしっかり地面を踏みしめて、
蹴りながらグーにして足をぐっと持ち上げる感じ。

鼻緒サンダルはあのシンプルなカタチのなかに
グーとパーのふたつの状態の足を含んでいて、
歩く動作に一番近い履き物かもしれません。
今後もいろいろと試したいことがあって
靴作りにますますのめり込んでいくのでした。

写真はSちゃんの手づくりサンダル。