2012年5月31日木曜日

朝の1時間でおもうこと

朝の散歩が日課になりました。
1時間くらい家族で歩きます。

家の裏から続く小道をゆっくり上がっていく。
栗林を過ぎ、大きな梅の木をくぐり
畑を跨ぎ、養蜂箱の脇を通って、竹林を抜け、
振り返ると芳賀富士とご対面です。

初めて見る虫たちや綺麗な草花に立ち止まりながら
毎日毎日その綺麗な世界を歩きます。



芳賀郡は比較的放射能汚染が少なかった地域だと言われています。
土壌中の放射性セシウム濃度は200ベクレル/㎏、
空間線量は0,1μシーベルト。
今ここで暮らすことは十分可能だと思っています。

でも、自分たちからは遠ざけることができても
草木や野生動物たちを守ることは難しい。
私は地球で、この山や川、木や土に生かされているのに
これからもその恵みから生かされていくのに
庭の土を掘りながら、そこにたくさんの命が在ることに
いまさらになってようやく気付くことができました。

これ以上、大切にしなきゃならないたくさんの命を傷つけないために
なにをすべきか、じっくり考え行動していこうと思っています。

今、この汚染を人から遠いところへ拡げてしまっては
問題を未来に残すだけでなく、
取り返しにつかない罪を犯すことになるかもしれません。

今月、益子内科胃腸科診療所の隣に放射能測定室ができました。
会員になれば誰でも安価で測定をしてもらうことができます。
沢山の会員が集まることを願っています。

2012年5月27日日曜日

ご飯と交換


大学時代の友人が靴づくりを体験しに
わざわざこんな山の中まで通ってくれることになりました。

先日その初めの日で
用意していた専用木型から型紙をつくって
革を切り出し、ミシンで縫って、
ひっぱって伸ばして、金づち振って、釘を刺して。
お昼から夕方までたっぷり靴作りをしました。

時間にとらわれずに、
周りの視線にとらわれずに
先の事にとらわれず、
出し惜しみせず全力で今を活きるのは
生きるものとして当然の姿なんだろうと思っています。

私もこんなふうに仕事がしたくて
この場所を選んだのだと思います。

次は1ヶ月後。
彼女の手づくりランチからワークショップは始まります。
午前中に私たちの分までご飯を作って持ってきてくれます。
「いただきます。」から始まるワークショップ。
私は文字通りもう先に頂いているので
感謝の気持ちを持って靴づくりをお返しします。

でもその前提にあるのは
靴づくりを教えたいという気持ちと
料理をしたいという気持ち。
気持ちが上手に交換できたら
たぶんお金なんて必要ないと思う。



写真はお隣のシロ。朝のご挨拶。おはよう!

2012年5月23日水曜日

ツバメくる




燕が軒下に巣をつくり始めました。
工房の中を自由に飛び回っています。
きっと賑やかな鳴き声に包まれる夏になりそうです。
草刈り機の音がうるさくて
巣づくりの邪魔をしてしまうのも申し訳ないので
しばらく巣の目の前は草むしりでお手入れしようと思っています。

Sさんの4足目の靴が出来ました。
2年前から靴をつくらせてもらっている茅ヶ崎のお客様です。
Sさんは家の中でのお仕事が多く、台所に立つ時間も大切な1日の仕事。
実は4足中3足が室内履きです。
私も一番大事にしている靴は仕事の靴です。
長時間履いていてもストレスを感じない靴。

先日、庭の草刈りをしてから仕事に入ったのですが
その時履いていた庭仕事用のゴム靴を履いたままだったんです。
1時間くらいで足がむずむず居心地悪くなって
もうそうなると仕事になりません。失敗しました。横着しては駄目ですね。

今回のSさんの注文は1足目の色違いでしたが
今までの靴を履かれた姿をみて、もっと軽めに柔らかくつくることができると考え
素材やカットラインを少し変えて新しい靴をつくることができました。

私はつくる度に、履く人は使う度に、
新しい自分と出会い、新しい世界が広がって、そこに希望や迷い、力がうまれる。
私の仕事は
自分の身体に合った靴をつくるというよりも
自分の身体に問いかける靴から始まって
自分の身体を方向づける靴を
履きてといっしょになって生み出していく作業だから
終わりがないんです。

だから、
いつも揺らいでいるこの世界で
バランスをとって愉しく生きるために
これからもずっと続けていきたいと思っています。

2012年5月20日日曜日

松籟(しょうらい)

5月19日土曜日13時、坂の上のスターネット旧山の食堂に集合。
津田貴司さんのワークショップ「みみをすます」に参加してきました。

20人くらいで益子の自然公園を歩きながら
身近から聞こえる音、上から音、下からの音、
遠くから運ばれてくる音、その隙間にある音、
様々な音にみみを意識的に開き、心地良い音の中に身を投じる。
それを“みみをすます”と津田さんは教えてくれました。

普段、私たちは見たいものを見て、聞きたいものを聞いて、知りたいことを知る。
でもその情報があまりにも多すぎる暮らしでは嫌でも入ってくる。
集中とはそんな雑音から身を閉じるような感覚だと思っていました。

でも、みみを開くという津田さんの言葉通り
琴線をかすかに触れるような小さな音も入ってくるように
身体を開く状態の方が集中の度合いが大きいことを
今の暮らしで感じています。

八溝山地を望む工房にはラジオも音響装置もなく
いつも風の音と鳥の鳴き声、遠くで農家のトラクターが走る音、
どの音一つとっても耳をここちよく触る音ばかりです。
時折、2階の自宅で泣いている我が子に気をとられがちですが
そんなのどかな環境下で身体の感度が澄みゆき、
自然にその全神経を目の前に集めることができます。

“松籟”とは松の葉を揺らす風の音。
木々の葉音を聞き分けるなんて、できないと思っていたけれど
知ってしまうとなんだか色々と知りたくなる。
この世界にはまだまだ知らない音がある。
かき消されてしまうような声を拾えるようになりたいです。

津田貴司“みみをすます”ワークショップとてもお勧めです。
次は6月9日守谷、八坂神社で開催予定です。

ワークショップ後のサウンドパフォーマンスも素晴らしかった。
楽器を使わずに、小枝、石ころやビン、水の入ったグラスなどを鳴らし反響させ、
特別につくった音響装置で時に音を重ねていく即興のパフォーマンス。
音の世界の素晴らしさを教えてくれた津田さんに感謝します。

コーディネイトしてくださった“いろのみ”の磯部さん。
美味しいパンを届けてくれたパンドムシャムシャさん。
スターネットの八田さん、早川さん。
いっしょに歩いて回ったワークショップ参加者のみなさん。
ありがとうございました。


2012年5月17日木曜日

ブログを始めます。

栃木県茂木町に引っ越してきてもうすぐ1か月が経ちます。

生活にも仕事にも毎日のリズムが生まれ、
風と水の音に包まれながら
家族で遊び、家族で食卓を囲み、家族に見守られながら
いまの私は暮らしています。

この場所は1人の素敵な素敵なおばあちゃんが
毎日毎日、手を入れ大切に愛で、育ててきた場所です。
おばあちゃんの暮らしは私にとっての先生です。
おああちゃんの育てた草花も先生です。
可愛い猫ちゃんも先生です。

またこうして日記を綴ることにしたのは
この場所を未来につなごうと思ったからです。
今日の仕事、今日のご飯、今日の頭の中、、
子どもたちに素敵な未来をつくるため。

靴の仕事やワークショップのお知らせもします。

たまに覗いてくれたら嬉しいです。
宜しくお願いします。

小林智行