2012年7月22日日曜日

身体の延長

ヌメ革とコルクと天然ゴムの朴訥として可愛らしいサンダルができました。
このサンダルはあつらえ靴のお客様Oさんの2足目です。

Oさんは左右で足の長さが異なるため、片足は背伸びしているような姿勢でした。
ご自身でも既製靴の中敷きにコルクを入れるなどして工夫もしていて、
スノーボードもそんな風にして上手に滑っているくらい、
自分の身体とうまく暮らしています。
Oさんをみていると、身体が左右対称であることとか、まっすぐだとか水平だとか
見た目には大事なことかもしれないけれど
身体が整っていることとイコールではないことを教えてくれます。
それでもサンダルだけは足を出すカタチが多いために、
見た目に難しく、夏の履き物には困っていたようでした。

このサンダルで
Oさんが夏を楽しく過ごせるようになってくれたら嬉しいです。

サンダルをつくるときは、前職の装具屋さん仕事を思い出します。
サンダルは足の動作を出来る限り妨げずに
それでいて、足にしっかりに付いてくるようにつくらなければなりません。
それはまさに装具の考え方です。
装具には飾り付けがありません。歩くことに必要ないからです。
それでもフォルムや素材で美しく、格好よく、可愛く、素敵に仕上げることができます。
それは身体を美しくすることでもあるかもしれません。

格好の良いサンダルをつくることより
格好の良い身体をつくれるようになりたいと思っています。

身体と遠く離れて、身体と交わらないモノよりも
身体の延長線上にあるモノをつくることが
ずっと道具としての魅力があると思うからです。