2012年6月26日火曜日

5でも7でもなくて、6。


先日はあつらえ靴のお客様の仮合わせをしました。
仮合わせというのは衣服の仮縫いと同じようなことで
試作の靴を履いてもらい、
履き心地や歩いたバランスなどをチェックする工程です。

ヒールの高さを確認するのですが
その方は(Nさん)はまず5ミリのヒールで立ってもらいましたが
落ち着きが悪いような感じがあり、10ミリのヒールだと前に不安定感があり
それならばと、この間の高さを1ミリずつ探ることにしました。
まず1ミリ足してみると、これがしっくりとくるようで
お腹に力が集まるとおっしゃいました。その場所は丹田と言われる場所です。
試しにもう1ミリ足してみると、これがまた不安定となり
見ている私も心地が悪い感じがします。
たった1ミリで身体がまったく違うものになる、これは本当に面白いことです。
このように靴を作っていると
不思議とその人の履き心地が伝わってくるようになりました。
Nさんが6ミリのヒールで立っている時の
しっくりと力強い姿から感じて、靴と相性が良いと直感が働く。
その話をNさんに伝えると
「それは気配ですよ。」と教えてくれました。

実はNさんは私の整体の先生でもあります。
靴づくりを学んだ私は卒業後、身体障害のある方の自助具などをつくる会社に勤めていました。そして、身体について興味を持ち、身体と道具の関係について考えるようになりました。靴はその中でも毎日身体に影響を及ぼす大事な道具であることが、実感できるようになったのは、このひとりひとりの身体に合ったモノづくりを続けてきたからだと思います。整体に興味を持ち始めたのはそのころです。
N先生とは友人のお宅で初めてお会いしましたが、その時は整体の先生とは知らず、
ただその家全体の気を変えてしまうような、温かく優しい気持ちが溢れている方で
家に帰ってからもずっと気になっていました。
また偶然お会いすることがあり、そこで尋ねてみると整体の先生であることがわかり
しかも道場も近くて、すぐに足を運ぶようになりました。

整体を学ぶことは身体をいかに使うかを学ぶことでもあると思います。
有機野菜を食べると身体はどう変わるんだろうか。
風の音を聞くと身体はどう変わるんだろうか。
足に合った靴を履くと身体はどう変わるんだろうか。
私が少しわかってきたのは
心が豊かになるということ。

心が豊かな人の気配は幸せな円の中にいるようです。